キミがめざす遠い星

帰ってきたウルトラマンの33話怪獣使いと少年上原正三氏が脚本を担当しドラマパートで差別や群集心理を扱い傑作として知られていますがもともとはキミがめざす遠い星というタイトルでした。

上原正三氏の脚本集などでも公表されていますが実際に怪獣使いと少年として放映された内容とは異なる点がいくつかあります。

第33話怪獣使いと少年はレギュラー準レギュラー俳優の出演が極端に少ないのですがMAT隊員は郷のほか隊長と上野隊員のみ坂田家は次郎のみの出演です。

しかしながらもともとの脚本キミがめざす遠い星には坂田一家や他のMAT隊員などの出演シーンもあります。

少年佐久間良が北海道の江差出身とわかるや伊吹隊長が松前追分という民謡の一節をそらんじる場面や丘隊員の良君はお父さんを探すために家出したんだわというセリフもあります。

また坂田健が英語を話していたら外国人の血が流れていると言われたエピソードがあったり本編でも象徴的なパン屋の娘がパンを売るシーンは坂田アキが演じることになっているなど結構重要な部分に変更が加えられたこともわかります。

上原正三氏の脚本の背景に関東大震災後の朝鮮人虐殺や第二次世界大戦の戦中戦後の沖縄の経験などが存在していたことは間違いないのですがそれをより明確にしたのは監督を担当した東條昭平氏だったそうです。

上記の内容の変更に加え本編での伊吹隊長の日本人は美しい花を作る手を持ちながらいったん刃を握ると残虐きわまりないというセリフも東條氏による加筆です。

実際撮影が進められる中でも問題となった場面が幾つかあり例えば少年佐久間良が商店街で石を投げられるシーンがあったりこのシーンは予告編で垣間見られるメイツ星人である老人が銃殺されるシーンは当初は竹槍で突かれることになっていたのが変更ました。それでもTBSサイドは放映できないと主張していたようですがプロデューサーの橋本氏が頼み込んで説得したようです。

メインライターであった上原氏はその後脚本を担当する機会が少なくなります。

また本作でウルトラでの監督デビューとなったはずの東條氏は助監督という立場に降格されたようですがウルトラマンタロウで監督として復帰します。その後も戦隊モノなどの特撮を中心に監督としての地位を構築していくのですが東條氏は現場では非常に厳しいという評価が多いです。

Wikipediaには鬼軍曹としてウルトラマンレオのアクターである二家元氏にドロップキックをくらわしていたという情報があります。

また帰ってきたウルトラマン第13話には脇役でも出演しているようでシーゴラスに襲撃される前の漁船海神丸の宴会のシーンで頭に鉢巻きをして酔って踊っているそうです。

助監督を務めるかたわら怪獣の着ぐるみの中にも代役として入っていたそうで第43話魔神月に吠えるでは等身大時のグロテス星人を演じていたとか。

しかも第43話魔神月に吠えるの当初の脚本には等身大のままグロテス星人がウルトラマン新マンと戦闘するシーンも用意されていたそうです。本編ではコダイゴンの背後に隠れ好戦的とは思えないグロテス星人ですがもしも等身大で戦うシーンがあったらドロップキックを披露したりしてイメージが違っていたかもしれません。

今となってはいずれももしもでしかないですが。