2018J1リーグ第23節北海道コンサドーレ札幌vsFC東京@札幌ドーム20180819 - ぽちごや

ポチえもん北へ。

日程発表のときから楽しみにしていた一年半ぶりの北海道。Jリーグの各チームは、ライバルでありながら旅の理由を教えてくれるコンダクターでもあります。

夏場にきても上位をキープする今年の札幌。どうやら札幌でもミシャスタイルが確立しつつある、その内容を確認したくて、今日は札幌。You'll Never Walk Alone♪

好調にスタートするも札幌劇場の前に大逆転を喫しました。三連敗。

東京は背水の陣。現時点のベストメンバーです。シフトは4-4-2。GKは彰洋。CBはヒョンスとモリゲ。SBは室屋と宏介。CMは洋次郎とヨネ。メイヤは右に慶悟左に晃太郎。2トップはディエゴと永井です。

札幌は三好が代表で不在です。なのでシフトはオプションの3-4-1-2。GKはク・ソンユン。3CBは右から進藤、キム・ミンテ、福森。WBは右に駒井左に菅。CMは深井と荒野。トップ下はチャナ。2トップはジェイと都倉です。

結論から言うと、ミシャは東京の倒しかたを知っているのかもしれませんね。ミシャにはなかなか勝てません。勝てないことはつらいのですけど、ミシャは意図がわかりやすい監督ですから、対戦はいつも楽しいです。

三好がいない札幌はモード2です。ミシャはわりと頑なに自分のサッカースタイルに準じるタイプの監督ですけど、浦和ほどぜいたくができない札幌では、編成の事情によってアジャストしています。言い換えると、都倉が問答無用の成績でミシャイズムをねじ伏せているということでしょう。

ミシャスタイルを代表するポジションは、いうまでもなくCMとシャドウです。CMについては、それに足る選手がいないためチーム作りの段階から諦めていたと思います。最終ラインにはいって攻撃を指揮するCMは、福森がその任に最適だと思います。札幌の枠を超えても福森はスーペル。でも福森のストロングをより強調するためには左CBがベストです。もしかするとミシャは、チーム作りにおいて最初に福森の使いかたを決めたのかもしれません。

モード2の特長は都倉を前目に固定すること。事実上2トップの布陣になります。本来のミシャスタイルは、2シャドウの細かな連携が信条ですから、都倉の使いかたは異質。これも都倉の対人パワーと直線的なスピードを活かす意図です。ミシャがイズムに固執せず柔軟性を持ち続けるのであれば、札幌での幸せな時間は長く続くと思います。

都倉に代わって、右サイドでシャドウ的なプレーを担うのは荒野です。これもモード2ゆえかもしれません。今日は深井をアンカーに据え、荒野を積極的に動かします。札幌のシャドウは左右を分担しています。チャナは左サイドでほぼ固定されていて、都倉あるいは荒野とダイアゴナルにポジションを入れ替えることはありません。このあたりはリスクテイクを避ける意図なのでしょう。

試合は札幌のイニシアチブで進みます。互いの志向が真反対ですから、自然に札幌がボールを持ち、東京がカウンターを仕掛ける流れになりました。

札幌の攻撃は左右でアシンメトリーです。右サイドはアタッキングサードでの駒井の仕掛けを基軸にします。ミシャがポゼッションスタイルを採用するのは、WBを攻撃の鍵とするためです。駒井に仕掛けの態勢をとらせるために、インサイドで基点を作ります。

一方、左サイドは福森のアーリークロスが主武器です。バックアップのためにミンテもしくは深井が左後ろに入ります。福森は縦に仕掛けることがないので、菅が重要な役割を担います。菅が縦を伺う姿勢をみせることで福森をフリーにします。繰り返しになるけど、福森の左足があるからこそ札幌がJ1でアイデンティティを示せるのだと思います。

フィニッシュパターンも、なので左右で異なります。右は駒井がペナルティエリアまで仕掛けられるので、クロスのパターンもマルチ。左は福森がアーリーの体勢をとったときにチャナもゴール前に入ります。それからミシャアタックらしさとして、札幌も二列がサイドからカットインしてきますので、そこからのミドルシュートもあります。

今日の東京は、沸き立つような札幌の攻撃を受ける作戦を基調とします。中盤中央のガードを固め、札幌がサイドに展開する手前で、有効なかたちを作らせないようにします。札幌は東京の作戦に乗せられるかたちで、サイドに人数が偏重します。中央の高い位置で基点を作れないため、サイドに人数がいても数的優位にはなりません。

それから札幌の強さは、局面のハードコンタクトにも理由があります。とくに前線の二人は、意図してコンタクトを挑みます。トップの対人攻撃能力は、攻撃スイッチになるのみならず、チーム全体に負けん気の強さも生み出していると思います。でも今日は東京が、札幌の2トップが体をはる局面を作らせません。これもまた、中央のガードを固めた効果です。

札幌の攻撃を無効にしたうえで、今日は長めのファストブレイクを基調とします。ひさしぶりに両エースが揃ったので、二人のコンビネーションを前面に出す意図だと思います。高い位置にはるディエゴに預け、キープ力で基点を作り、一気に攻めます。もしくは永井を走らせ、直接ゴールに迫ります。

この攻防をオーガナイズしたのは、やはり東京でした。札幌に、上手く攻めさせた、東京スタイルならではの展開です。こういうサッカーでミシャを封じられたら気持ちいいなと思いました。そして東京のオーガナイズがかたちになります。

33分。彰洋のGKから。宏介と駒井が競ったイーブンボールを洋次郎がダイレクトで前線に送ります。これが永井を走らせる裏へのパスになります。永井に通り、独走します。一気にペナルティエリアに侵入。味方の上がりを確認した永井はマイナスの折り返しを中央に送ります。そこにいたのはディエゴだけ。ディエゴは右足ダイレクトで丁寧に決めました。札幌0-1東京。

先制したことで展開はますます東京優位になります。札幌が繰り出すアタックは散発で、空回りが続きます。これに反して東京は、ファストブレイクのかたちが整い、守って一気に攻める流れができました。そして、試合をますます優位にするゴールが前半終了間際に生まれます。

前半アディショナルタイム+1分。宏介の右CK。今日の東京はセットプレーを工夫します。モリゲとヒョンスを分散します。モリゲは永井をスクリーンにゴール付近。ヒョンスとディエゴと洋次郎はペナルティエリア中央に固まります。札幌はオーソドックスにハイブリッドです。ストーンはジェイと菅。モリゲエリアのマークは福森と進藤。ヒョンスエリアはミンテ、都倉、荒野です。宏介のモーションと同時にヒョンスがニアに走り込みます。宏介の狙いはまさにそこ。サインプレーでしょう。首を振ったヒョンスのシュートは、逆サイドのゴールに吸い込まれました。札幌0-2東京。

前半はリードして折り返します。

後半頭からミシャが動きます。荒野に代えて白井を投入します。同時にシフトを3-3-2-2に変更します。アンカーは深井。駒井とチャナがその前に並びます。白井は右WG。そして駒井とチャナを下り気味にします。おそらくポゼッションの重心を少し下げる意図だと思います。

それから前半はおとなしかったジェイと都倉のコンタクトをハードにします。閉じられた中央のガードをこじ開ける意図だと思います。

そしてこれがはまります。札幌のボール回しがスムーズになります。リトリート基調の東京にとっては、クリッピングポイントが離れて、おっとっとという感じだったと思います。かといって前に出ると白井と菅にスペースを与えてしまうので、難しい判断だったと思います。さらにジェイと都倉に中央を支配されてしまい、上げるに上げられないジレンマもあったと思います。この作戦変更ひとつで、すべての歯車が逆転します。

53分。アタッキングサードに入ったあたりのやや左寄りで駒井からのパスを受けた福森は、ルックアップ。このときファアサイドで都倉が呼んでました。ゴール前は、ジェイにヒョンスとモリゲ、菅に室屋、都倉に宏介がついていて、イーブンです。福森は、都倉のマーカーの宏介が最も拾い難い、ちょっと内側で宏介にとって戻る動きになるポイントに落とすクロスを送ります。都倉はこれに反応します。都倉のダイビングヘッドは、モリゲに当たってゴールに吸い込まれました。ゴラッソ。札幌1-2東京。

追撃の流れがかたちになったことを受け、ミシャが動きます。菅に代えて早坂を右WGに投入します。白井が左に回ります。通常高アジリティ系の選手を好むミシャですけど、パワー系ドリブラーの早坂を使うあたりも柔軟性の表れでしょう。

さらには白井のシュートにも期待したと思います。そしていきなり奏功します。

68分。駒井からの縦パスを受けた都倉がジェイに預けます。ジェイは都倉に戻します。ルックアップした都倉は、左サイドを上がる白井に送ります。アタッキングサードに入ります。これを受けた白井はカットイン。そのままの流れで思い切り左足を振り抜きました。ゴラッソ。札幌2-2東京。

内弁慶の札幌がこわいのは、札幌ドームの劇場化現象です。ただでさえドームで反響しやすいところに、コンパクトですから余計に響くのかもしれません。まるで赤と黒魔界に引きずり込まれたような錯覚にすらとらわれます。そして逆転されます。

72分。東京陣で、深井からのパスを受けた福森が攻め上がります。福森は前線のチャナに預けます。チャナはジェイをスクリーンにしてマークのヨネを外します。フリーになったチャナは、思い切りよく右足を振り抜きました。ゴラッソ。札幌3-2東京。

直後に健太さんが動きます。二枚同時代えです。永井に代えてリンスを左メイヤに投入します。晃太郎が右に回ります。

慶悟に代えて遼一をトップに投入します。前線のコンタクトの圧力を高めることでリズムを取り戻す意図です。さらにリンスにボールを集め、スピードでゴールに迫ろうとしたのだと思います。このアジャストが機能します。札幌の一方的なラッシュの前に手も足も出なかった状況が一変し、東京がイニシアチブを握ることに成功します。

そこで健太さんが重ねます。ヨネに代えて品田を同じくCMに投入します。品田はJ1デビューです。中盤でボールをさばくことで洋次郎を上げ、数的優位を作りやすい状況にしようとしたのだと思います。東京はディエゴとリンスを預け、ゴリ押しでゴールに迫ります。

そこでミシャが〆ます。深井に代えてイナを同じくアンカーに投入します。イナはディエゴをマンマークします。ディエゴを封じることで残りの時間を逃げ切れると踏んだとだと思います。

ミシャの思惑通りにクローズします。このまま試合終了。札幌3-2東京。

ここにきて、ことし初の三連敗です。さっそく他力本願が効いて広島もお付き合いしてくれましたけど、川崎に離されてしまいました。かろうじて、まだ可能性はあるけど、最近そんなことばかり言ってるのでジリジリします。

ちょっと中盤の強度が落ちている気もします。ファストブレイクのキレの源は、中盤の安定感に基づく圧倒的な支配力です。攻撃に人数をかけようとするトレードオフかもしれません。なかなかメンバーが揃わないことが原因だと思いますけど、チームの底上げのためにも現メンバーでファストブレイクの基本を取り戻してほしいです。

しばらくロードなのも痛い流れかもしれません。味スタに戻ってきたら、東京をあと押ししてあげたいですね。